2023年09月23日

スパイラルロッドの取り付け工事 50万V送電線

写真の上のカーソルがの場合はクリックすると拡大します。

2023年09月19日再掲載 タイトル : 再掲載しました。(タイトル変更なし)
昨日のアクセス解析を見ると最新の記事「家(実家)で最初に飼ったワンコ ジョン」の次に多かったのが、6年前の過去記事「スパイラルロッドの取り付け工事 50万V送電線」でした。数年前の過去記事のアクセス数が多いのは珍しいことなので、それを機会に再掲載させていただきました。
 2023年9月19日 閲覧数:11,699 nice!:141 CMT:10 再掲載時
 2023年9月20日 閲覧数:11,873 nice!:175 CMT:22
 2023年9月21日 閲覧数:11,986 nice!:191 CMT:32
 2023年9月22日 閲覧数:12,106 nice!:203 CMT:38
 2023年9月23日 閲覧数:12,221 nice!:209 CMT:40
 2023年9月28日 閲覧数:12,447 nice!:224 CMT:42
 2024年8月03日 閲覧数:13,532 nice!:228 CMT:44

2017年10月18日掲載
タイトル : スパイラルロッドの取り付け工事 50万V送電線

中途半端に終わらせたくなくて、長く中断していた「送電線取替工事に関する記事の掲載」を再開いたしました。先ずはプレーボタン( )をクリックしてみてください。送電線にスパイラルロッドを巻き付けているところです。東京電力の房総線で送電線の取替工事が2016年12月中頃から2017年3月23日まで行われていました。この間の工事は房総線全長約40km(房総変電所から新京葉変電所)の約10%にあたる4.1㎞の送電線でした。今までに送電線に関する記事を書いてきて2017年5月10日に5つ目の⑭の「4導体用スペーサーの取付工事(⑯の点検を含む)」の記事を掲載したところで中断していました。時間が経ちましたが送電線の取替工事の紹介を再開したいと思います。今回は⑮のスパイラルロッドの取付工事の紹介です。上の動画がスパイラルロッドの取付を行っているところです。袋をさげた人の左側がスパイラルロッドを取り付ける前で、右側が取り付けた後です。ちなみに世界一高い送電塔は高さ380mで、中国浙江省舟山市にある舟山島送電線で島と島を渡すため径間長は2700m送電鉄塔だそうです。
下記のリストが送電線の取替工事の手順です。赤色以外の①~⑰の着色丸数字をクリックするとその作業の記事を表示します。
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クリックすると拡大 送電線取替工事手順
 ① スパイラルロッドの取外し
 ② 4導体用スペーサーの取外し
 ③ ジャンパ線取外し & 碍子の取替
 ④ 滑車の取付 
 ⑤ 2本送電線の連続化
クリックすると拡大 ⑥ 吊り下げ金具の取付
 ⑦ 4本の送電線の内2本の新旧交換
 ⑧ 2本送電線の連続化    と同じ
 ⑨ 滑車への送電線かけ換え と同じ
 ⑩ 4本の送電線の内2本の新旧交換
 ⑪ 吊り下げ金具の取外し
クリックすると拡大 ⑫ 碍子に送電線取り付け
 ⑬ 滑車の取外し
 ⑭ 4導体用スペーサーの取付
  スパイラルロッドの取付
 ⑯ 点検(スパイラルロッドとスペーサー)
 ⑰ ジャンパ線の設置(プレハブジャンパ)

スパイラルロットを移動しながら取り付けていきます。時間を短縮するために36倍速にした動画を紹介します。着色文字をクリックするとオリジナのスピードと6倍速の動画も別画面で見ることが出来ます。
 別画面で表示 → オリジナル(16分7秒) 6倍速(2分41秒) 36倍速(26秒)


クリックすると拡大下の写真は3段ともにスパイラルロッドの取付が完了した送電線です。遠くから見た写真ですがスパイラルロッドが確認できると思います。右下の写真はスパイラルロッドが外された状態です。拡大して下の写真と比べると違いが分かってもらえると思います。4本の電線を束ねているのがスペーサーです。このように4本で構成されている送電線のことを4導体送電線と呼び、主に500KV送電線(50万ボルト送電線)と275KV送電線に使われます。
クリックすると拡大

スパイラルロットの構造が分かるようにスペーサーのあたりを拡大いたしました。黄色の円で囲った部分を見るとわかるように電線に巻き付けられているスパイラルロッドは1本ではなく4本だったのです。
スパイラルロッドの取り外しや取り付けは大変な作業であることから、それを取り付けなければならない大きな理由があることを感じました。
クリックすると拡大

スパイラルロッドを取り付ける目的(理由)を検索すると風切り音の防止と着雪防止が出てきます。我々のあたりは豪雪地帯でもなく雪が降るのは稀なことです。偶然ですが工事中にスパイラルロッドが取り付けられていない時に強風(春一番)が吹いたことがありました。その時の動画が下記ですが今までに聞いたことが無いほどの大きな風切り音がしたのです。我々の住んでいる地域は住宅地のために、ここでは風切り音を防止することがスパイラルロッドの最大の目的のように感じました。強風時に電線から発生する風切り音(電線風音)の防止対策として,1973年から既設の電線にスパイラルロッド(弦巻素線)を巻きつける方法が適用されてきたそうクリックすると拡大です。
1987年には右の写真のような電線自体に突起を設けた低風音電線が実用化されましたが、今回の取替工事では、工事の手間のかかるスパイラルロッドを後から巻く方法が採用されたのにはそれなりの理由があるのだと思います。
プレーボタン( )をクリックすると大きな「送電線の風切り音」以外に「カメラにあたる風の音」と「送電線同士の接触音」さらに2分13秒ごろからは「下校時の子供たちの声」も聞こえます。


こちらがスパイラルロッドを巻き付けている時の静止画(写真)ですが、完成した写真に比べるとスパイラルロッドの目立ち方が少ないように感じました。
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上の写真を拡大して見ると巻かれているスパイラルロッドは2本でした。
クリックすると拡大

この写真でも2本づつ巻いていることが分かると思います。どうやら4本同時には巻けないようです。つまり同じ作業を2度繰り返して4本にしていたことが分かりました。スパイラルロッドを巻き付ける作業は大変な作業であることをあらためて知りました。
クリックすると拡大

上の写真はクリックすると拡大しますがクリックが面倒な方のために拡大写真を掲載しました。この写真をクリックすると広い範囲を表示します。
クリックすると拡大

今回の東京電力の房総線での送電線の交換は下記の地図の24鉄塔から32鉄塔までの3770m(━━)が対象でした。その中で高さ121mの最も高い27鉄塔でのスパイラルロッド取付工事開始の様子を紹介いたします。右の小さな2枚の写真は新しいケーブルを送り出す24鉄塔( )と巻き取る32鉄塔( )の場所の写真です。
クリックすると拡大クリックすると拡大 送電線交換・始点鉄塔 24鉄塔
 送電線交換・終点鉄塔 32鉄塔
 シルバー塗装鉄塔
 赤白塗装鉄塔
 ━━ 送電線一括交換部分 3770m  房総線鉄塔の高さデーター → ポチッ


その27鉄塔(121m)で袋に入ったスパイラルロッドを引き上げているところです。地上に設置されたウインチで引き上げていました。スパイラルロッドを引き上げが行われていた27鉄塔の脚元(足元)にはKELユーカリが丘(千葉県佐倉市ユーカリが丘5丁目3-1)のフットサル・コートがあります。
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写真の一番下にスパイラルロッドの入った袋がぶら下っているのが分かると思います。一番上まで引き上げているところです。この時は3段の送電線の一番上の送電線にスパイラルロッド取り付けるのです。鉄塔の高さは121mなので約100mの高さでの作業になります。下段の2段の送電線は新旧を入れ替えるための滑車が取り付けられています。この写真はクリックすると特別に大きく拡大するので、拡大写真を見ていただくと上の説明が分かりやすいと思います。
クリックすると拡大

準備作業は3人で行われていました。このあと2人が左方向にスパイラルロッドの取付作業を始めました。次に右方向も作業員の方がスパイラルロッドの取付工事を始められました。この鉄塔から両方向に工事を始めたのは、一番高い鉄塔から始めると進行方向が少しでも下り方向になるためではないかと想像いたしました。地上のスペースも広かったので、それも理由かもしれません。
クリックすると拡大

高さを実感していただけるでしょうか。写真で人が写っているのが、上で紹介した作業が行われていた高さ121mの27鉄塔です。手前から28鉄塔、27鉄塔、26鉄塔、25鉄塔です。実は27鉄塔と26鉄塔の間は谷になっていることから、その谷の部分の地面からは約120mの高さの作業になっているのです。
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房総線の鉄塔の位置を全てプロットいた地図を紹介します。房総変電所から新京葉変電所の間が房総線です。
地図の右上のアイコンをクリックして別画面で地図を表示させると五井火力線や新京葉線などの鉄塔も表示させることが出来ます。
房総線は次のように変貌いたしました。地図画面の左上端の の東東京変電所(当時の名前)は新野田変電所に名前が変わりました。新古河変電所は表示されている外側にプロットしています。新京葉変電所が出来たことで1993年に房総線の新京葉変電所~新古河変電所までは新京葉線に名前が替わりました。
 房総線の沿革
  1966年 63km 房総変電所~東東京変電所 500KV設計 275KV運用
  1973年 84km 房総変電所~新古河変電所 500KV運用 日本初実用
  1993年 40km 房総変電所~新京葉変電所 500KV運用 現在の状態  
 赤白塗装の鉄塔
 シルバー塗装の鉄塔
 送電線交換・始点鉄塔 24鉄塔
 送電線交換・終点鉄塔 32鉄塔
 房総変電所 新京葉変電所 新野田変電所 ( 新古河変電所 江東変電所 )
 五井火力発電所 総出力 188.6万KW 使用燃料 LNG(天然ガス)
 ━━ 五井火力線 五井火力発電所~房総変電所
 ━━ 旧房総線  新京葉変電所~新野田変電所(旧・東東京変電所)


五井火力発電所から房総変電所までの鉄塔をプロットした地図→ポチッ
posted by SORI at 20:14| Comment(44) | 送電線 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月28日

碍子の取替 と ジャンパ線取外し 送電線取替工事

写真の上のカーソルがの場合はクリックすると拡大します。
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前々記事で送電線のスペーサーの取外し工事を紹介しました。
その次の作業が下記の取替手順の中の③の「ジャンパ線取外し と 碍子の取替」です。本記事では赤色文字の③~⑥を紹介したいと思います。赤色文字以外の着色文字をクリックすると、その記事を表示いたします。
クリックすると拡大 送電線取替工事手順
 ① スパイラルロッドの取外し
 ② 4導体用スペーサーの取外し
  ジャンパ線取外し & 碍子の取替
  滑車の取付 
  2本送電線の連続化
クリックすると拡大  吊り下げ金具の取付
 ⑦ 4本の送電線の内2本の新旧交換
 ⑧ 2本送電線の連続化    と同じ
 ⑨ 滑車への送電線かけ換え と同じ
 ⑩ 4本の送電線の内2本の新旧交換
 ⑪ 吊り下げ金具の取外し
クリックすると拡大 ⑫ 碍子に送電線取り付け
 ⑬ 滑車の取外し
 ⑭ 4導体用スペーサーの取付
 ⑮ スパイラルロッドの取付
 ⑯ 点検(スパイラルロッドとスペーサー)
 ⑰ ジャンパ線の設置(プレハブジャンパ)
クリックすると拡大クリックすると拡大 他の送電線に関する記事
 〇 架空地線交換工事
 〇 取替工事期間中の春一番
 〇 中国の送電線

碍子(がいし)もジャンパ線も鉄塔に付属しているものです。つまり今回の作業は鉄塔および鉄塔近くの送電線での作業になります。
送電線用鉄塔には大別して耐張型鉄塔と懸垂型鉄塔があります。 耐張型鉄塔は電線の張力を鉄塔で受けるために、碍子(ガイシ)が水平に取り付けられています。一方、懸垂型鉄塔は重力と風の水平力を鉄塔で受けるタイプで、碍子はV型に取り付けられて送電線を吊り下げています。
耐張型鉄塔(左)では送電線は一旦切断されているので電気の通り道となるジャンパ線が碍子の下にぶら下っています。懸垂型鉄塔(右)では単に送電線を吊り下げているだけでジャンパ線はありません。そのような構造の違いがあることから送電線の取替工事では耐張型鉄塔の工事は複雑なのに対して、懸垂型鉄塔の工事はシンプルです。先ずは懸垂型鉄塔での工事から紹介していきたいと思います。
 耐張型鉄塔 24鉄塔 25鉄塔 28鉄塔 30鉄塔 31鉄塔 32鉄塔
 懸垂型鉄塔 26鉄塔 27鉄塔 29鉄塔
耐張型鉄塔(水平碍子)        懸垂型鉄塔(V型碍子)
クリックすると拡大クリックすると拡大

こちらはスパイラルロッドやスペーサーの取外し工事の写真を撮った2日後の写真です。鉄塔の右の一番上(上段)のV型碍子の取替工事が始まっています。
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同じ鉄塔の下から撮った写真です。中段にも2名の作業員の方が作業をしていることが分かりました。上段の送電線はすでに碍子と送電線が離れていました。
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こちらは上の写真の翌日に撮った2段目です。碍子は送電線から外され垂直になった状態でした。この写真を冒頭に使わさせてもらいました。左側が古い碍子ですが、右側はすでに新しい碍子が吊り下げられていました。古い碍子の端にはアークホーン(ループ状の金属)が付いているので新しい碍子と区別が出来ます。新しい碍子のアークホーンは全てが完成してから最後に取り付けられるようです。新旧の送電線を接続して4.1km引張って入れ替えるための滑車が、すでに4つ配置されています。
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上段の送電線はすでに新しい碍子がV型に設置され送電線の交換用の滑車も取り付けられていました。
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上の写真の11分後には中段の古い碍子の方は地上に下されて、下段の工事も進んでいました。この写真はクリックすると特別に大きく拡大するので、上段、中段、下段の工事の状況がよく分かると思います。
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下段部分を拡大いたしました。3本の碍子を見ることが出来ます。垂直に持ち上げられているのは古い碍子です。V型の左側が新しい碍子で、右側が古い碍子です。右側も新しい碍子に取り換えて滑車を取り付けると、新旧の送電線の入れ替え工事の準備工事は完了です。
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送電線の上に立って作業をしているところを拡大いたしました。
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ここからは耐張型鉄塔の碍子の取替工事を紹介します。こちらの写真は工事前の碍子とジャンパ線です。3本の碍子で送電線の張力を鉄塔に伝えていのす。碍子の下にぶら下っている4本の電線がジャンパ線です。1本の碍子は10個ごとに黒い碍子が入れられています。つまり1本の碍子気35個の碍子で作られていることが分かります。この35個の碍子て50万ボルト(500KV)の電圧をぜつえんしているのです。上のV型の懸垂型鉄塔の碍子も数えていただくと分かると思いますが35個です。
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同じタイプの碍子(ガイシ)の図をネットから転用させていただきました。これは 500kV 3連耐張装置(210kN懸垂がいし)と呼ばれるタイプです。この図でも1本35個の碍子で構成されています。
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この鉄塔では一番下である下段から工事が始まりました。始まったのは上の懸垂型鉄塔の工事の2日目でした。この時の時間は9時42分でした。
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55分後に分かりましたが、この作業の主に目的はジャンパ線の取外しでした。
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作業場所の拡大した写真を紹介します。
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次に写真を取りに来た時にはジャンパ線はすでに外されていました。この時の時間は10時37分なので最初に工事の写真を撮ってから55分後でした。9時から作業が始まったとすると開始から1時間37分以下で取り外されたことになります。結構早いです。
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上の段の工事も若干の時間差がありましたが並行して行われて3段のジャンパ線取外しは1日で終了いたしました。写真は中段で、時間は上の写真と同じ10時37分です。
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下段の碍子の取外し工事です。この写真は15時51分に撮ったものです。
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少し広い範囲の写真です。上の段はすでに新しい碍子に替わっていました。古い碍子は3本でしたが新しい碍子は2本でした。
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右側が古い碍子で、左側が3本であることが分かってもらえると思います。左側の上の2段はすでに2本タイプの新しい碍子に交換されています。3本から2本になったのは51年間(=2017年-1966年)の間に強度が上がったか、信頼性が上がったのではないかと思われます。
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3段共に新しい碍子に交換できました。上の写真の9日後の写真です。その間に他の鉄塔の工事も行ったのだと思います。
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これが新しい2本タイプの碍子です。まだ作業は終わっていません。新旧の送電線を入れ替えるための準備工事が残っているのです。古い送電線をワイヤーでつないで4.1kmの範囲を1本にする工事があるのです。
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最初に滑車を取り付けます。懸垂型鉄塔では1ケ所に4個の滑車を取り付けていますが、耐張型鉄塔では1ケ所に取り付ける滑車は2個なのです。耐張型鉄塔の両側の送電線は交換時でも2本は張力をかけておく必要があるので、2本は滑車に乗せて、2本は碍子につないでおく必要があるのです。
つまり4本を一緒に滑車に乗せることが出来ないので2個だけなのです。
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滑車が取り付けられた部分を拡大いたしました。まだワイヤーや電線は滑車には通されていません。
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次の作業の写真を紹介します。右と左で別の目的の作業をしています。左側は送電線の内2本にワイヤーをつなぎ4.1㎞を1本の送電線にする作業です。最初に説明した全体の作業手順の中の⑤の「2本送電線の連続化」です。
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その接続部分です。取り付けたり外したりが容易なようなジョイントになっているようです。
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右側の作業は吊り下げ金具を通しているのです。4本の送電線の内2本ずつ入れ替えますが入れ替えのために移動する送電線を碍子につないだ送電線で吊り下げるための金具を取り付けているのです。これが⑥の「吊り下げ金具の取付」です。ロープが1本張ってありますが、新旧の電線の交換作業の直前に、このロープを隣の鉄塔から引張って吊り金具を配置するのだと思います。
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これが吊り下げ金具です。この吊り金具が鉄塔間の約400mに均等に配置されます。この鉄塔の隣りの鉄塔までの距離は413mです。全てロープでつながっていて終わった後に手繰り寄せることで全て回収できる仕組みです。
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配置された吊り金具です。ただし、この時ではなく新旧の電線の交換作業の直前に配置されました。金具の上側の送電線は耐張型鉄塔の碍子に固定されていて、下側が連続化された送電線で滑車に通されています。
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交換する電線2本が滑車に通されました。
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これが完成したした状態です。
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右側だけを拡大いたしました。この写真はクリックすると特別に大きく拡大(幅で5.2倍に拡大)いたします。
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赤い部分がワイヤー(左)と送電線(右)の接続部分です。これで4.1㎞が1本でつながりました。接続部分が滑車などに引っかからないようにスムーズな形状なっています。
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一番下の段(下段)を工事中に真下から撮った写真です。上段と同じ工事の状態で17日後なので送電線の新旧入れ替え工事を含めて1段あたり平均で8.5日と計算されます。本写真はクリックすると幅で4.5倍に拡大いたします。
クリックすると拡大

完成した状態を下から見ました。V型碍子の懸垂型鉄塔では3段共に滑車を4個づつ計12個を取り付けますが、この 耐張型鉄塔では一番上の段(上段)に2個だけつけています。この後、2本の送電線を左から右に引っ張って古い送電線を新しい送電線に取り換えます。さらに2本を取り換えると、次に中断の作業を行い、最後に下段の作業を行います。左側の3段が全て終了すると、今度は右側の取替工事が行われます。本写真をクリックすると特別に大きく拡大するように設定いたしました。
電線の詳しい取り換え方法はこちらです。→ポチッ
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posted by SORI at 02:45| Comment(16) | 送電線 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月24日

スペーサー取り外し工事の写真 4導体送電線

写真の上のカーソルがの場合はクリックすると拡大します。

日本初の50万ボルト送電線(500KV送電線)として1966年に設置された房総線の電線の取替工事が の4.1kmの範囲で2016年12月中旬から2017年3月23日まで行われました。地図上のプラスのアイコンをクリックすると工事の範囲がさらに分かりやすくなると思います。マイナスのアイコンを数回クリックと今回の工事の場所と房総線の位置が分かってくると思います。
 赤白塗装の鉄塔
 シルバー塗装の鉄塔
 送電線交換・始点鉄塔 24鉄塔
 送電線交換・終点鉄塔 32鉄塔
取替工事の手順は概ね次の通りで、今までに赤色以外の着色文字の部分に関して紹介させていただきました。送電線の取替工事に関する記事は現時点で6つになっています。今後、着色されていない作業に関しても全て紹介して送電線取替工事の報告を完遂されたいと思っています。写真を撮っている時は作業手順のことは頭に入っていないのですべての作業の写真が撮られているかどうかは現時点では分かりませんが撮った沢山の写真の中から探し出していきたいと思っております。今回は②の「4導体用スペーサーの取外し」ですが、スペーサーの取外しは短期間で終わってしまうことと、丁度その時に関西に出かけていたので写真が見つけられるかどうかが最大の難関でした。
赤色以外の着色文字をクリックするとその作業の記事を表示します。
クリックすると拡大 送電線取替工事手順
 ① スパイラルロッドの取外し
  4導体用スペーサーの取外し
 ③ ジャンパ線取外し & 碍子の取替
 ④ 滑車の取付 
 ⑤ 2本送電線の連続化
クリックすると拡大 ⑥ 吊り下げ金具の取付
 ⑦ 4本の送電線の内2本の新旧交換
 ⑧ 2本送電線の連続化    と同じ
 ⑨ 滑車への送電線かけ換え と同じ
 ⑩ 4本の送電線の内2本の新旧交換
 ⑪ 吊り下げ金具の取外し
クリックすると拡大 ⑫ 碍子に送電線取り付け
 ⑬ 滑車の取外し
 ⑭ 4導体用スペーサーの取付
 ⑮ スパイラルロッドの取付
 ⑯ 点検(スパイラルロッドとスペーサー)
 ⑰ ジャンパ線の設置(プレハブジャンパ)

探した結果、冒頭の地図の中の27鉄塔の傍で撮った中に、初期の段階にスペーサーの取外しに関わる写真が数枚ありました。送電線自体の取替工事であることも知らなかったので、この作業がスペースーの取外しに関わる作業であることも知りませんでした。鉄塔よりも左側(西側)の作業ですが、西側の作業が終わるころには送電線の取替工事であることも工事の手順も判っていたので、鉄塔の東側の工事の時に工事の手順通りに獲るつもりでした。ところが残念ながら東側の工事の初期の段階は関西に行っていて撮れなかったのです。こちらの写真の左側の3段の内、一番下(下段)はすでにスペーサーは取り外されています。写っている鉄塔はこのあたりでは最も高さのある121mの27鉄塔です。
クリックすると拡大

上段の方のところにスペースーらしきものがぶら下っています。
クリックすると拡大

中段の方の網の中に取り外された沢山のスペーサーが入っていることから、中段でスペーサーを外す作業が行われているものと思われます。
クリックすると拡大

上の写真はクリックする拡大いたしますが、クリックが面倒な方のために拡大写真を掲載いたしました。
これが、偶然に撮れていたタイトルのスペーサー取り外し工事の写真です。この写真だと取り外されたスペーサーが網に入っていることがよく分かっていただけると思います。
クリックすると拡大

クリックすると拡大四導体送電線用のスペーサーの写真をを紹介します。下の写真の左側が古い写真です。右側が2017年に取り付けられた四導体送電線用のスペーサーです。まったく同じ構造と思われます。左の古いスペーサーが房総線が建設された1966年当初のままだとすると51年前に、現在使われているものと同じ構造のスペーサーが開発されていたことになり当時の技術レベルの高さを知ったことになります。
クリックすると拡大クリックすると拡大

上段の作業も気になるのでレンズのズームの焦点距離を400mmで撮っても高さ100mだと、この大きさでした。
クリックすると拡大

上の写真から切り取りました。古いスペーサーなので取り外されたスペーサーだとわかりました。この写真で作業をされている方の進行方向の送電線にリング状のものが付いているのに気が付きました。
クリックすると拡大

さらに拡大しました。後方側はリングが取り外されています。この場所ではスパイラルロッドではなくリングが付けられていて、作業の方は、そのリングを取り外しているのだと分かりました。網の中にはスペーサーは入れられていないことからぶら下っているスペーサーは入っていないためにリングを取り外すために一時的にスペーサーを取り外している可能性が高いと感じました。
クリックすると拡大この場所は住宅地は遠く離れた場所であることから、このリングは冬の積雪による被害を防ぐために右の写真のような「難着雪リング」ではないかと感じました。僅か4.1kmの間ですがスパイラルロッドやリングなど、いろんな方式を使い分けているようでした。ただし、今回の送電線の取替工事で、この場所もスパイラルロッド方式になりました。
クリックすると拡大右の写真は、まったく同じ場所のスパイラルロッドを取り付けている写真です。
その同じ場所とは26鉄塔と27鉄塔の間で、西側の最上段です。
下の写真のスペーサーと難着雪リングを取り外していたのが2016年12月16日で、右の写真のスパイラルロッドを取り付けていたのが2017年1月14日でした。
クリックすると拡大

スペーサーの取外し工事の写真が撮れたのは一番手前の鉄塔と真中の鉄塔の間です。一番手前の鉄塔が27鉄塔(121m)で、真中が26鉄塔(106m)で、一番奥が25鉄塔(87m)です。この写真は、左側の3段共にスペーサーが外されて、送電線交換のための滑車が取り付けられている状態です。右側の3段の送電線は、まだ古いままです。
クリックすると拡大

追伸
本記事を掲載した2017年10月22日23時10分直後から10月23日午後未明までSo-netブログの、niceやコメントを含めた管理作業が出来なくなりました。
本画面の確認が出来たのは10月23日3時30分でした。それ以前はブログ自体も見ることが出来ませんでした。
 So-netブロク問い合わせURL:https://www.so-net.ne.jp/blog/qa/
クリックすると拡大

今回はシステムメンテナンスであることが表示されない時間も長く続きました。10月23日13時頃はまだ復旧しておらず、正常になったことに気が付いたのは10月23日15時30分頃でした。驚いたことに http://blog.so-net.ne.jp/ さえも表示されない状態でした。
クリックすると問い合わせ画面

今回に関係しそうな障害をSo-netブログの障害情報で確認すると次のように発表されていました。ただし障害内容の欄の内容は対応中の復旧前の表示です。
2017年10月24日17時45分時点
So-net ブログ の障害情報

障害・メンテナンス 現在の状況はこちら

該当のお客様にはご迷惑をおかけしております。 更新:2017/10/24


これまでの障害情報

ご迷惑をおかけいたしますことを深くお詫び申し上げます。

日時 状態 障害内容
2017/10/22

12:15~



2017/10/23

15:00
復旧
So-netブログサービス利用障害

内容:

So-netブログで障害が発生しております。

サーバー負荷により閲覧や管理ツールへのアクセスが不安定な状況です。

対象サービス:

So-netブログサービス

影響範囲:

対象サービスをご利用の一部のお客さま
posted by SORI at 23:59| Comment(24) | 送電線 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年05月10日

スペーサー取り付け工事 4導体送電線

写真の上のカーソルがの場合はクリックすると拡大します。
クリックすると拡大
2016年12月中頃から2017年3月23日まで東京電力の房総線で送電線の取替工事が行われていました。この間の工事は24号鉄塔から32号鉄塔の4.1㎞の送電線でした。すでに2017年3月11日に掲載した記事で送電線の取替工事は沢山の手順があることを紹介しましたが、上の写真は⑭の4導体用スペーサーを取り付けているところです。着色番号( or )はすでに過去記事で紹介した作業です。YouTube登録動画はこちらです。→ポチッ
クリックすると拡大 送電線取替工事手順
  スパイラルロッドの取外し
  4導体用スペーサーの取外し
  ジャンパ線取外し & 碍子の取替
  滑車の取付 
  2本送電線の連続化
クリックすると拡大  吊り下げ金具の取付
  4本の送電線の内2本の新旧交換
 ⑧ 2本送電線の連続化    と同じ
 ⑨ 滑車への送電線かけ換え と同じ
  4本の送電線の内2本の新旧交換
 ⑪ 吊り下げ金具の取外し
クリックすると拡大 ⑫ 碍子に送電線取り付け
 ⑬ 滑車の取外し
  4導体用スペーサーの取付
  スパイラルロッドの取付
  点検(スパイラルロッドとスペーサー)

 ⑰ ジャンパ線の設置(プレハブジャンパ)

クリックすると拡大これが新しく取り付けられた4本のケーブルを束ねているスペーサーです。ケーブルに巻き付けられているのは風騒音防止および雪害対策のためのスパイラルロッドです。下の写真をクリックすると拡大するので、新しく交換したスペーサーの構造がよくわかると思います。鮮明な写真が欲しかったので、地上から三脚を使って400mmのレンズで撮りました。
このように4本で構成された送電線を4導体送電線と呼ぶそうです。電圧が高くなるほどコロナ放電防止などの観点から導体数を増やします。スプリングは人間の作業に影響されずに一定の力でケーブルを拘束するためのものです。
クリックすると拡大

こちらが交換前の古いスペーサーです。錆が出てはいますが、同じものだと思われます。この古いスペーサーが房総線の建設当初(1966年)のままであれば、51年前のスペーサーということになります。1966年ならば、日本初の500KV設計となることから、今と同じスペーサが使われていたとも考えにくいので、途中で交換された可能性もあります。スパイラルロットはすでに外された状態でした。
クリックすると拡大

スペーサーを取り付けているところを拡大いたしました。この作業が地上60m~90mで行われていました。ぶら下げている網は取り付けている時の金具の落下防止です。工具に関しては全て紐でつながれていると思います。人が乗っている器具は宙乗器と言うです。
クリックすると拡大

クリックすると拡大154KV以上の超高圧送電線では、右の絵のイメージのようなコロナ放電によるコロナ損やコロナ雑音などを防止するために、電線を複数本に分割する方式が採用されています。下記のように電圧が高くなるほど電線(導体)の構成が多くしてコロナ放電が少なくなるようにしています。→ポチッ
クリックすると拡大海外では右の写真のような3導体送電線が使われていますが、日本での実用3導体送電線と思っていましたが、Pirokiさんから中国電力の北松江幹線と、中部電力の浜岡線が3導体送電線であると教えていただきました。調べると第二浜岡線も3導体送電線だそうです。いずれも500KVの送電線でした。三角形が日本のスペーサーです。
今回の房総線は50万ボルト(500KV)の超高圧送電線のため4本(4導体)の送電線ですが、参考に近くの2導体送電線の写真を下に紹介します。水平に2本並べられていることが分かってもらえると思います。右下の小さい写真は6導体送電線と8導体送電線です。
 単導体送電線 110KV以下送電線  
 2導体送電線 154~187KV送電線 200~275KV送電線 
 3導体送電線 海外 300KV送電線 400KV送電線
クリックすると拡大 4導体送電線 500KV送電線 275KV送電線 
 6導体送電線 実験線 500KV低インダクタンス送電線想定 
 8導体送電線 実験線 1000KV送電線想定
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スペーサーを取り付けている動画を紹介します。


送電線を移動している動画も紹介します。腕力だけで移動していることが分かってもらえると思います。こちらの動画は動きが大きいので是非ともプレーボタン( )クリックして見てもらいたいです。


こちらの動画では落下防止の網をぶら下げていません。こちらはスペーサーとスパイラルロッドを取り付けたあとの作業です。取り付けた状態の確認と修正を行っているものと思われました。日本人の丁寧な仕事の仕方が伝わってきました。


この写真は6本の送電線の最後のスペーサーを取り付ける作業です。この写真で左側の一番下が最後のスペーサーの取付作業中ではありますが、同時に3本の送電線に作業員がぶら下っています。これは仮止に取り付けられた上の2本の送電線のスペーサーと縦に一直線になるようにしているのです。
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別の角度から撮った写真です。作業員は3人のように見えますが、実は4人1組でした。1人は地上で錘の付いた糸をぶら下げて連絡をとりながら、スペーサーが縦一直線になるように指示をしている人でした。こちらの作業からも日本人の丁寧な仕事の仕方が感じられました。
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全ての送電線の取替工事が完了した送電線です。スペーサーの位置が分かりやすい角度で撮った写真です。3つスペーサーが垂直にきれいに並んでいることが分かってもらえると思います。クリックすると拡大するのでわかりやすいと思います。今回の工事部分(9基の鉄塔)の地図はこちらです。→ポチッ
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言葉の説明
1.コロナ放電
空気は絶縁体ですが、送電電圧が非常に高くなると、送電線の周囲の空気の絶縁が部分的に破れ、わずかずつ放電を始めます。これがコロナ放電です。送電線の場合は、電線を太くしたり、電線を4本・8本などに分けたりして、コロナを出しにくくしています。コロナ放電は空気中だけでなく、油、ゴム、プラスチック材料などの絶縁物の中でも起こります。
posted by SORI at 18:18| Comment(20) | TrackBack(3) | 送電線 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月13日

送電線取替工事 新旧の送電線の交換方法

写真の上のカーソルがの場合はクリックすると拡大します。
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2016年の12月から50万ボルト超々高圧送電線である房総線で送電線の取替工事が始まりました。ただし、送電線取替工事以前から2基(30鉄塔、31鉄塔)の建替え工事が行われていました。送電線の取替工事に気が付いて初めて写真を撮ったのが2016年12月16日でした。その写真が右下の2枚の写真で12月18日の記事「みのむし軍団 高圧送電線補修のプロフェッショナル」に掲載させていただきました。送電線の取替工事の手順は概ね次の通りです。これを6回繰り返します。上の写真は2017年3月11日の朝に撮ったものです。送電線そのものの取替は6本とも完了し右側の1番下段の最後の工事(⑬~⑰)が残っているのみです。人が鉄塔間で送電線を渡るのが①②⑥⑬⑭⑮の6回なので計36回ほど鉄塔間を人が渡るのです。
右下の写真は①のスパイラルロッドの取外し作業です。上の①~⑯の手順の中で気になるのが⑦と⑩の新旧の送電線の交換作業です。送電線の場所には住宅地もあることから送電線間では送電線を地上に下すことが出来ないのです。そのような条件で古い送電線をどのように外して、新しい送電線をどのように取り付けるのかを知りたかったわけです。本記事ではその作業を紹介したいと思います。①~③ ⑭~⑰は左右それぞれまとめて行われます。本記事「新旧の送電線の交換方法」での紹介は赤色文字の作業です。着色番号( or )はすでに過去記事で紹介した作業です。YouTube登録動画はこちら→ポチッ
クリックすると拡大 送電線取替工事手順
  スパイラルロッドの取外し
  4導体用スペーサーの取外し
  ジャンパ線取外し & 碍子の取替
  滑車の取付 
  2本送電線の連続化
  吊り下げ金具の取付
  4本の送電線の内2本の新旧交換
クリックすると拡大 ⑧ 2本送電線の連続化
 ⑨ 滑車への送電線かけ換え
  4本の送電線の内2本の新旧交換
 ⑪ 吊り下げ金具の取外し
 ⑫ 碍子に送電線取り付け
 ⑬ 滑車の取外し
  4導体用スペーサーの取付
  スパイラルロッドの取付
  点検(スパイラルロッドとスペーサーの取付状況の確認?)
 ⑰ ジャンパ線の設置(プレハブジャンパを使用)

送電線の交換は下記の地図の24鉄塔から32鉄塔までの3770m(━━)の古い送電線を一気に新しい送電線に交換します。地図上のはいずれも鉄塔ですが、今回の工事の中で24鉄塔()と32鉄塔()が特別な役割のある鉄塔なのです。から新しい送電線を送出し、から古い送電線を下すのです。地図内の30鉄塔と31鉄塔の高さは建て替え前の古い数値です。冒頭の写真は手前から27鉄塔、26鉄塔、25鉄塔です。
この地図の表示されている範囲で標高(海抜)の一番高い地面に建てられているのが25鉄塔です。一番低い地面に建てられているのが32鉄塔です。
 送電線交換・始点鉄塔 24鉄塔
 送電線交換・終点鉄塔 32鉄塔
 シルバー塗装鉄塔
 赤白塗装鉄塔
 ━━ 送電線一括交換部分 3770m  房総線鉄塔の高さデーター → ポチッ



送電線交換・始点鉄塔 24鉄塔
この場所から新しい送電線が送り出されます。見えている鉄塔は24鉄塔です。写真の一番左端に新しい送電線が巻かれた黄色いドラムが置かれています。鉄塔の高さは目測で55m前後です。
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先ずは、この動画を見てもらうと新しい送電線が送り出されている様子を見ることが出来ます。送電線が巻き付けられたドラムから牽引機で引っ張りだされています。新しい送電線の先端は古い送電線の一番後ろににつながれていています。是非ともプレーボタン( )をクリックしてみてください。


鉄塔には大きな滑車があります。送電線はこの大型滑車を通って送り出されていきます。この大型滑車の正式名はクローラー金車だそうです。YouToubにPirokiさんからコメントをいただきました。
動画の最初は左側の送電線の接続部分が現れます。2つの接続部分がが通過した後、右の送電線の接続部分が現れます。その次に別の角度から見た動画になります。2つ接続部は耐張型鉄塔部分に取り付けられるジャンパー線部分と思われます。このことから、正確に切断した送電線をカップリングで接続して送り出していることがわかります。


写真でも作業現場の全景を紹介します。
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これが新しい送電線が巻き付けられたドラムです。
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これは送電線の牽引機のような機械だと思われます。送電線がドラムに4回巻き付けられています。この牽引機は正式には延線機と呼ばれています。
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牽引機(延線機)の部分を拡大いたしました。この写真だと送電線が4回巻き付けられていることもよくわかると思います。
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鉄塔に取り付けられた滑車(クローラー金車)です。円形ではないのでガイドローラーはチェーンかキャタピラ(クローラー)のような構造のものだと思われます。キャタピラはキャタピラ社のクローラーの商品名です。
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交換作業が始まる寸前に作業現場に来てみました。畑を借りて広い仮設の作業場を作っていました。正月明けとなる2017年1月5日の写真です。
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すでに新しい送電線が持ち込まれていました。
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機材や新しい送電線を持ち込むために畑に鉄板を引いて仮設の大きな道路も作られていました。見えている鉄塔は北側に建っている23鉄塔です。
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見学している時に、大型トラックが新しい送電線を持ち込んできました。距離が3.77Kmとすると必要長さは約90km(=3.77×4×6)になります。
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送電線交換・終点鉄塔 32鉄塔
24鉄塔から送り出される新しい送電線を引っ張りながら古い送電線を下すのが、写真の中の一番右の32鉄塔です。32鉄塔の周りは住宅地で、上の24鉄塔のように広い作業スペースは無いように思われます。そのために黄色の丸で囲ったところに取り付けられている大型の滑車から真下に引き下ろしていました。真下より若干戻る方向に引っ張っていました。写真をクリックすると拡大するので、下に降りている送電線が判ると思います。
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先ずは、動画を見てもらうと作業内容がわかると思います。地上にも大型の滑車が取り付けられています。


こちらが鉄塔に取り付けられている大型の滑車(クローラー金車)です。前日暗かったのですが接続部分が滑車(クローラー金車)を通過するところの動画も撮れました。→ポチッ


写真でも紹介していきます。鉄塔に取り付けられた大型滑車(クローラー金車)です。大型滑車(クローラー金車)が2個取り付けられています。
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こちらが地上の大型滑車(クローラー金車)です。人と比べると大きさが判ると思います。
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これは巻取り用のドラムではなく送電線の牽引機(延線機)のようです。新しい送電線をを送出すところに設置されていた牽引機と同じタイプで、やはり送電線が4回巻き付けられていました。送り出すところの牽引機(延線機)との間で引き合いながら移動していくようです。この牽引機の後ろに小さな巻取りドラムがあります。
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クリックすると拡大上の写真では送電線が牽引機(延線機)のドラムに4回巻き付けられているのが分かりにくいので、写真を拡大いたしました。房総線が出来た1966年の当初から使われていたとしたら50年以上経過していることになります。右の写真の新しい送電線と比べると色の違いが明らかです。
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これが古い送電線の巻取りドラムです。
作業スペースが小さいのでドラムも小さいのだと思います。巻き取った古い送電線をトラックに載せているところです。
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古い送電線を巻き取ってトラックに乗せるまでの写真です。





24鉄塔()~32鉄塔()間
送電線用鉄塔には大別して耐張型鉄塔と懸垂型鉄塔があります。 耐張型鉄塔は電線の張力を鉄塔で受けるために、碍子(ガイシ)が水平に取り付けられています。一方、懸垂型鉄塔は重力と風の水平力を鉄塔で受けるタイプで、碍子はV型に取り付けられて送電線を吊り下げています。この2種類の鉄塔で、交換する送電線を移動させる滑車の取付方が違ってきます。耐張型鉄塔が使われるのは水平および垂直方向で方向転換がある場合に使われます。送電線が水平で鉄塔が一直線に並んでいる時に懸垂型鉄塔を使うことが出来ます。25鉄塔と30鉄塔と31鉄塔は前後の鉄塔と直線で並んでいるけれども高低差が大きいので耐張型鉄塔が使われていると想像しております。両方の写真とも左側の3段が新しくなり、右側が古いままの時に撮った写真です。2016年に建替えられた30鉄塔と31鉄塔は建替え前は懸垂型鉄塔でした。
 耐張型鉄塔 24鉄塔 25鉄塔 28鉄塔 30鉄塔 31鉄塔 32鉄塔
 懸垂型鉄塔 26鉄塔 27鉄塔 29鉄塔
耐張型鉄塔(水平碍子)        懸垂型鉄塔(V型碍子)
クリックすると拡大 クリックすると拡大

クリックすると拡大今回の送電線は50万ボルトの電圧が使われていることから4本の送電線を正方形に配置した4導体送電線です。
4本なのに2本づつ交換するのは4本の内2本で吊り上げてやらないと垂れてしまうからです。特に鉄塔間のスパンは一定ではないため3770mをフリーにしてしまうとスパンが長いところは特に大きく垂れてしまうと思われます。
今回は400mmレンズで動画も撮ったので右の写真のように三脚も使いました。


これが交換する送電線を吊り下げる金具です。真ん中にロープが取り付けられているのは交換が終わったときりこの金具を鉄塔から手繰り寄せて回収するためです。このロープのおかげで回収のために人が送電線を渡らなくてもいいのです。ただし設置は人が行うと思われます。


上の動画は画面を拡大しないと送電線が動いていることが分かりにくいと思います。この動画には接続部分が写っているのでわかると思います。


吊り下げ金具を鉄塔から手繰り寄せている動画です。



懸垂型鉄塔(V型碍子) の部分の送電線交換の仕組みを紹介します。
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滑車は4個取り付けられます。碍子がV型であることがよく分かってもらえると思います。送電線の工具である今回の滑車は「金車」と呼ばれています。金車の詳しい説明はこちらにありました。→ポチッ
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その4個の滑車(金車)の部分を拡大いたしました。
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滑車(金車)は4個ですが、2個づつ動きます。この動画では外側の2個が動いていますが、別の時は内側の2個が動きます。



耐張型鉄塔(碍子が水平)の部分の送電線交換の仕組みを紹介します。写真は左側のみ新しい送電線に交換した時点で撮ったものです。
水平に取り付けられた碍子の前後からぶら下っている線が、ジャンパ線です、左側が新しく交換されたパイプ式プレハブジャンパで、右側が従来のジャンパ線です。今回の工事で碍子のも新しいタイプに交換されます。左側が碍子が2列並んだⅡ吊型碍子です。右側が交換前の碍子が3列並んだⅢ吊型碍子です。碍子の強度が上がったので2本で耐えられるようになったか、設計荷重の見直しが行われたかどちらかだと思います。
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耐張型鉄塔では滑車(金車)は2個取り付けられます。ここに2本の送電線が通されます。残りの2本は碍子に固定されるので滑車(金車)は4個必要ありません。最初の2本の送電線が新しくなると入れ替えます。古い送電線を滑車に通して、新しい送電線は碍子に固定します。
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動画を見てもらうとわかってもらえると思います。この動画には人が写っているので大きさもわかると思います。


別の時に撮った動画です。



32鉄塔()あたりから見た31鉄塔、30鉄塔、29鉄塔、28鉄塔です。左側の送電線の真下からクリックすると拡大写真を撮ってみると、鉄塔と送電線の接点が一直線に並んでいることから、鉄塔も直線上に並んでいることが分かってもらえると思います。右側の一番下が交換中の送電線です。2017年3月9日午前の写真です。昼までに交換が終了いたしました。鉄塔群と建物間に小さく見える鉄塔は、実はこのあたりで一番高い27鉄塔で、高さは121mあります。建物か林の陰に26鉄塔があるものと思われます。
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上の写真を拡大いたしました。クリックするとさらに拡大します。交換中(右側の最下段)の送電線がよくわかると思います。
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30鉄塔と31鉄塔は2016年に建替えられたことを上で記載させてもらいました。両方ともに高くなりましたが、特に31鉄塔は差(64m→約100m)が大きいです。建替え前(左)と建替え後(右)を紹介します。鉄塔は両方ともに手前から31鉄塔、30鉄塔、29鉄塔です。建替え前の写真はネットから転用させていただきました。建替え後の鉄塔の高さは目測です。建替え方法は、両方ともに右側(東側)に仮設の鉄塔を建てて、元の場所に今の鉄塔を建てましたが、送電線の取替工事と同時進行の時期があったかめか(?)、複雑な建替えをしていました。右側の現在の写真をクリックして拡大すると、30鉄塔に関しては解体中の仮設の鉄塔の一部が残っていることが分かってもらえると思います。
 建替え前(左) シルバー塗装 懸垂型鉄塔(V型碍子) 高さ:75m/64m
 建替え後(右) 赤白塗装   耐張型鉄塔(水平碍子) 高さ:約100m
クリックすると拡大 クリックすると拡大

さらに驚いたことに30鉄塔と31鉄塔の内側には古い鉄塔が入っています。アーム部分のみ解体して塔の部分は残したものと思われます。クリックするとトップまでが写った写真を表示します。
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本鉄塔は今回の送電線取替工事の最も南側の32鉄塔です。
この鉄塔の碍子に注目してください。6ケ所ともに奥側(北側)が新しく交換された2列のⅡ吊型碍子で手前側(南側)が古いままの3列のⅢ吊型碍子であることが分かってもらえると思います。つまり32鉄塔より南側はまだ6ケ所とも古いままなのです。当然ですが、送電線も古いままと思われることから、今後に工事が行われると推測されます。
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これが、32鉄塔より南側の送電線です。1番左側の鉄塔が32鉄塔で、そこから右に33鉄塔、34鉄塔、35鉄塔、36鉄塔、37鉄塔、38鉄塔、39鉄塔、40鉄塔、41鉄塔、42鉄塔、43鉄塔までみることが出来ます。つまり12基の鉄塔が見ることが出来る場所でもあります。32鉄塔から43鉄塔までの距離は4.28kmです。撮ったのは2017年3月7日の早朝(7時17分)で曇っていたため、晴れた日に撮りなおして写真を差し替えるつもりです。
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posted by SORI at 23:59| Comment(20) | TrackBack(4) | 送電線 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月19日

2017年の「春一番」は謎の音で始まりました。

写真の上のカーソルがの場合はクリックすると拡大します。
クリックすると拡大
2017年2月17日の朝に家内が散歩に出て帰ってくると近くの雑木林の方向から動物の鳴き声が聞こえるというのです。家の近くの雑木林の中にいる動物と言えは雉(キジ)か兎(うさぎ)くらいです。ネットで確認した兎の鳴き声とは違うようでした。あとはキジの声になるので、前に録音したキジの鳴き声を聞いてもらうと似ているけれとも少し違うような気もするとのことでした。私も雑木林の方の謎の鳴き声を聞きに行き、それが何の音であるかがわかりました。それが上の写真と関係があるのです。この送電線は房総変電所と新京葉変電所をつなぐ房総線ですが、現在送電線の交換工事が行われていてその工事と、この日の天気が関係していたのです。鉄塔が写った写真と動画は全て2017年2月17日に撮ったものです。
参考にキジの鳴き声を紹介します。音声バーの右端の►ボタンクリックすると鳴き声クリックするとキジの鳴き声を聞くことが出来ます。右の写真をクリックしても聞くことが出来ます。何回も鳴き声が聞こえますが、これは編集したためで実際には1回だけです。→ポチッ

動物の鳴き声と思われた音はキュンキュン(またはヒュンヒュンあるいはチェンチェン)という感じの音でした。前々回の記事で紹介しているように50万ボルトの超超高圧送電線の電線を交換工事が行われているのです。
クリックすると拡大鉄塔の左側が交換工事が終わった送電線で、鉄塔の右側が交換工事中の送電線で4本をまとめる右の写真のスペーサーが外されているのです。さらに送電線は交換のために滑車に乗せられているのです。そのことから強風のために送電線(ケーブル)同士が接触して音が出ていたいるのだと直感いたしました。
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そこで送電線沿いに散策をしながら動画を撮りました。風は左から右に吹いています。送電線のたわみから、かなりの強風だとわかってもらえると思います。風の音で聞きにくいと思いますが、送電線同士の接触音であるキュンキュンが確認できると思います。是非ともプレーボタン( )をクリックしてみてください。強い風も感じてもらえるかもしれません。聞こえる音は「カメラにあたる風の音」と「送電線の風切り音」と「送電線同士の接触音」ですが、2分13秒ごろから「下校時の子供たちの声」も聞こえます。


左から右方向に強風が吹いていることが分かってもらえると思います。クリックすると拡大4本のケーブルをスペーサーで束ねた左側に比べてスペーサーが外された右側は大きく右側に流されているのが判ると思います。右の写真の滑車の上に送電線が乗せられているのも大きいです。鉄塔間のスパンが大きいところにたるみが集中して、より大きくたわむためです。
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これが4本のケーブルを束ねているスペーサーです。ケーブルに巻き付けられているのは風騒音防止および雪害対策のためのスパイラルロッドです。
クリックすると拡大右の写真はスパイラルロットを取り外している時の写真です。下の写真をクリックすると拡大するので、新しく交換したスペーサーの構造がよくわかると思います。鮮明な写真が欲しかったので、地上から三脚を使って400mmのレンズで撮りました。
このように4本で構成された送電線を4導体送電線と呼ぶそうです。電圧が高くなるほどコロナ放電防止などの観点から導体数を増やします。
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写真を撮っていても体が流されるほどの強風だったので、これは「春一番」だと感じたため、家に帰ってネットで調べてみると予想通り「春一番」でした。2017年の「春一番」は2月17日でした。
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千葉での瞬間最大風速は21.7m/sとのことですが、これは地上での風速なので100mの高さでは地上の2倍以上の風速であった可能性があります。風圧も相当なものだったと思います。次の建物に対する風荷重(風圧力)の計算式は建築基準法で規定されているものです。下記のグラフからも高いほど風速が速い傾向にあると想定されていることが判ります。ベルヌイの定理でも判るように4倍の風圧力は2倍の風速を意味します。
   クリックすると拡大風圧力単位:kg/㎡


2017年2月17日に「春一番」が吹いた記事を枠内に転記いたします。
関東地方で「春一番」

4月並みの暖かさ なだれや融雪などに注意

Yahooニュース 2/17(金) 10:33配信

クリックすると拡大きょう17日の午前、気象庁は関東地方で「春一番」が吹いたと発表した。昨年より3日遅い観測。
きょうの関東地方は、サハリン付近にある低気圧と日本の南海上にある高気圧の影響で、南寄りの風がやや強く吹いている所がある。茨城県と千葉県の太平洋側や伊豆諸島、相模湾を中心に波が高くなるため、船舶や交通機関の乱れには注意が必要だ。

なお、きのう(16日)は九州北部地方で、けさは北陸地方で春一番の発表があった。
また、気温は朝から高く、日中は各地で4月並みの暖かさとなる見込み。関東北部の山沿いなど、積雪の多い所では雪解けが進むため、なだれや落雪などに十分な注意が必要となる。
関東地方での17日午前10時までの最大瞬間風速は以下のとおり。

クリックすると拡大 東京 18.0メートル(午前9時10分)

 千葉 21.7メートル(午前9時17分)

 横浜 19.1メートル(午前7時33分)

【春一番】

春一番は、立春から春分の間に低気圧が日本海を進み、暖かな南風が強く吹き、前日より気温が上昇した最初の日に発表される。気象庁では、九州から関東にかけて春一番の発表をするが、基準を満たさず発表されない年もある。
ラベル:送電線 春一番
posted by SORI at 08:51| Comment(16) | TrackBack(2) | 送電線 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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