
岩国高校記念館の次に訪れたのは鵜飼育施設(う しいく しせつ)「吉香 鵜の里(きっこう う の さと)」です。案内板の左後ろある建物が鵜の飼育施設です。錦帯橋の鵜飼」は、日本三名橋の一つ「錦帯橋」を背景に清流錦川で行われます。錦帯橋の鵜飼の起源は古く、今から約380年前と言われているそうです。長い歴史の中で一時中断していましたが、1952年に復興され現在に至っているそうです。
フリー百科事典のWikipediaによれば、鵜飼い・鵜飼・鵜養は飼いならした鵜(ウ)を使ってアユなどを獲る伝統的な漁法です。中国や日本などにみられる漁法ですが、日本では平安時代から貴族や武士などが鵜飼見物を行ってきた歴史があり、現代でも各地で観光としての鵜飼が行われています。一方、ヨーロッパでは16世紀から17世紀の間はスポーツとして行われたそうです。
書物以外の日本での鵜飼に関する物証としては、5〜6世紀に築造されたとされる群馬県の保渡田八幡塚古墳から、頸に紐を巻きつけ嘴には魚をくわえた形状で鵜飼の様子を表現した「鵜形埴輪」が出土したそうです。
こちらが右の写真の錦帯橋のそばで行われる鵜飼(うかい)に使われる鵜の飼育施設です。


こちらの施設は鵜飼(うかい)で使われる鵜(う)を間近で見ることが出来るのが特徴です。日本の鵜飼いは中国からもたらされたと思っていましたが、隋書に倭国(日本)の鵜飼いが書かれた時代(600年)には鵜飼いは中国人にとって珍しい漁法で、その後に中国においても鵜飼い漁法が定着したそうです。
中国の史書「隋書」の開皇二十年(600年)の条の記載内容は、日本を訪れた隋使が見た変わった漁法として「以小環挂鸕鷀項 令入水捕魚 日得百餘頭 (小さな輪を鳥にかけ日に100匹は魚を捕る)」だそうです。つまり、鵜飼は世界に誇れるユニークな漁法と言えます。

中央の金網に近いところに水槽があり、よく泳いでいました。時々羽を広げで羽ばたくので写真のように金網の外まで水が飛んでくるので注意してください。見ている間に4~5回は水をかけられました。

水槽の横はガラスになっていて水中を潜って泳ぐ姿も見ることが出来ます。日本に生息しているウ科は、ウミウ(海鵜)とカワウ(川鵜)とヒメウ(姫鵜)とチシマウガラス(千島鵜鴉)です。日本では体の大きいウミウが鵜飼に使われていて、内陸部が圧倒的に多い中国ではカワウが使われているそうです。属の分け方には諸説あるようです。

門 脊索動物門 Chordata
亜門 脊椎動物亜門 Vertebrata
綱 鳥綱 Aves
目 カツオドリ目 Suliformes
科 ウ科 Phalacrocoracidae
属 ウ属 Phalacrocorax
種1 ウミウ Phalacrocorax capillatus
種2 カワウ Phalacrocorax carbo
種3 ヒメウ Phalacrocorax pelagicus
種4 チシマウガラス Phalacrocorax urile

ウミウ(海鵜)とカワウ(川鵜)の分布図です。ウミウは日本、韓国、北朝鮮、中国、ロシア南東部に分布しているのに対して、カワウは世界の内陸も含めた広い範囲に分布していることが判ります。

鵜の飼育ゲージの隣の建物の展示コーナーです。こちらにはトイレや授乳室が備わっています。

全国の鵜飼も紹介されていました。西方向から紹介します。
日本で鵜飼に使われるウミウは、下で紹介している12ケ所の鵜飼のうち11ケ所には茨城県の鵜の岬のウミウ捕獲場で捕獲されたウミウが供給されているそうです。右の浮世絵は渓斎英泉作の「河渡 長柄川鵜飼(木曽街道六十九次)」です。右の下段の小さな写真は全国で唯一船を使わず徒歩で鵜飼が行われている有田川の鵜飼です。現在においては和歌山県有田市(ありだし)の有田川(ありだがわ)の鵜飼は地元で捕獲したウミウが使われている唯一の鵜飼でもあります。

日田の鵜飼 大分県日田市
大洲のうかい 愛媛県大洲市
錦帯橋のう飼 山口県岩国市
三次の鵜飼 広島県三次市
有田川の鵜飼 和歌山県有田市
嵐山の鵜飼 京都府京都市
宇治川の鵜飼 京都府宇治市


木曽川うかい 愛知県犬山市
小瀬鵜飼 岐阜県関市
笛吹川石和鵜飼 山梨県笛吹市



鵜飼が行われるエリアの航空写真も紹介します。
錦帯橋と、その上流にある錦城橋の間のエリアで鵜飼が行われます。漁の対象となる鮎(あゆ)は北海道・朝鮮半島からベトナム北部まで東アジア一帯に分布していますが、日本がその中心的存在のようです。

門 脊索動物門 Chordata
亜門 脊椎動物亜門 Vertebrata
綱 条鰭綱 Actinopterygii
目 キュウリウオ目 Osmeriformes
亜目 キュウリウオ亜目 Osmeroidei
上科 キュウリウオ上科 Osmeroidea
科 キュウリウオ科 Osmeridae
亜科 アユ亜科 Plecoglossinae
属 アユ属 Plecoglossus
種 アユ Plecoglossus altivelis
過去も含めて錦帯橋の鵜飼の写真は撮っていなかったので、岩国旅なびと岩国市観光協会HPに掲載されていた錦帯橋の鵜飼の写真を転用させていただきました。吉香・鵜の里の飼育設備の鵜たちが活躍している姿です。2021年の鵜飼が行われたのは鮎釣り(鮎漁)解禁日の6月1日から9月10日でした。つまり鵜飼が見れるのは3ケ月です。右下に長良川の鵜飼のサイトから鵜舟や鵜飼の名称の説明図を転用させていただきました。

鵜の手縄(たなわ)を持っているのが鵜匠です。
期間 6月1日(火) ~ 9月10日(金)
時間 19時~21時
トイレ休憩あり
料金 大人(中学生以上) 2,200円
小人(小学生) 1,100円
予約 5月6日(木)より


吉香・鵜の里の場所をGoogle地図で紹介します。赤色マーク(




錦帯橋の鵜飼いを紹介した30秒の動画がネットにあったので掲載させていただきました。サイトの名前はやまぐち映像図鑑です。
【関連する記事】
- 叔父さんからのお土産の「岩国寿司」の仕入れ先(作っているところ)が判りました。
- 迷路としても楽しめる「岩国藩藩主の吉川家墓所(きっかわけぼしょ)」
- 吉香公園のシンボル 城の石垣をイメージした大噴水
- 武家屋敷 旧目加田家住宅
- 白山比咩神社 岩国
- シロヘビ館 白へびの赤ちゃん「ラブちゃん」
- 岩国高校記念館
- 香川家長屋門 岩国藩家老の家の表門
- 佐々木小次郎店で恒例の錦帯橋のソフトクリームが食べれました。
- 錦帯橋 2021年台風14号通過直後の動画
- 台風14号の後の山口県への墓参り 岩徳線
- 山口縣立岩國高等女學校・跡地 川西第一街区公園
- 新岩国駅前のカレー専門店で食事をしました。 アリス
- 錦帯橋 戻りは動画ではなく写真を撮りました。
- 岩国城の麓の城(御土居)跡に建立された吉香神社(きっこうじんじゃ)
- 錦帯橋のソフトクリーム 初めて「むさし」で食べました。
- 岩国城
- 岩徳線の動画 その2 錦川清流線との合流
- 岩徳線の動画 その1 柱野駅到着
- 岩徳線の川西駅から錦帯橋を経由して岩国城までの景色
おこなわれるんですね
鮎が沢山生息してるんでしょうね
筑後川河畔で一度だけみたことがせあります。
う〜ん、何回か行ってたのに色々見逃して残念でたまりません・・・
いつかゆっくり行きたいです^^
錦帯橋の下を流れる錦川は鮎が有名なようです。上流にある料理旅館等では鮎尽くし料理が食べれるようです。自然豊かなところです。カジカガエルの生息地としも有名です。
鵜飼を見られたことがあるのですね。私はまだ鵜飼いを見る機会はなかったです。是非とも屋形船に乗って鵜飼を見てみたいと思います。
岐阜の長良川の鵜匠の方は国家公務員だそうです。溺愛猫的女人さんのコメントで国家公務員の鵜匠がおられることを知りました。
錦帯橋の鵜飼いは鮎の漁期であることから6月1日から約3ケ月である上に19時から2時間であることから、偶然に見かける機会は少ないと思います。
錦帯橋を見ながらの鵜飼いは格別だと思います。機会があれば見てみたいです。
ほんと飼育小屋が見れるのは珍しいて思います。来てみてよかったです。
鵜飼を見たことがあるとは羨ましいです。私も早く見てみたいです。
鵜飼いって、いろんなところで行われているんですね。
ほんと、たくさんの場所で行われていますね。でも鮎の季節だけの風物のようです。
北関東の茨城県では鵜の岬で捕まえて鵜飼をしています。
秋深く漁が終ると皆鵜を逃がすんです。そして来春また捕まえます。
それの繰り返しなんです。
これだけの鵜飼育施設が無料で見られるとは素晴らしい。
私事です。「正義の証明」の最新記事アップしました。
その他にMacOS Montereyのバージョンアップ画面が冒頭にあります。是非見てください。
秋に漁が終わると逃がして、来春また捕まえ、最初から漁を教えているのもすごいことです。鵜匠の技術ですね。
前回来た時に飼育施設があることを知ったので、今回は是非とも見たいと思って訪問いたしました。「正義の証明」読ませていただきました。
錦帯橋を背景にした鵜飼は素敵な雰囲気だと思います。錦帯橋に行く計画があったのですね。是非とも次の機会には鵜飼も見てほしいです。鵜飼が行われているのは6月1日(鮎漁解禁日)から9月10日ごろまでだそうです。
鵜飼いは何度か見たことが有りますが、
錦帯橋をバックに、鵜飼いを楽しんだ後に
アユ料理をいただいて見たいものです。
何度も鵜飼いを見られたとはすばらしいです。私も早く経験したいです。もちろん鵜飼いを見ながらアユ料理を食べたいです。
そしてただの鮎漁ということではなく、エンターテインメントの側面も持っているんだなぁと感じます。
以前テレビで、若い女性が鵜飼いに弟子入りする番組を見ました。
きっと熟練の技が必要だろうから、長い修行が必要なんだろうなと思います。
初めて鵜を使った漁法を考えだした人はすごいと思います。どのような人だったのでしょうね。少なくとも1420年前から続いているというのも素晴らしいです。伝統漁法が続いてきたのもいろんな人たちの努力があったからなのでしょうね。