


先日、千葉県佐倉市井野で2017年1月25日に行われた藁の大蛇を集落の道の境(辻)に飾る「辻切り」を紹介いたしました。それと同じ伝統行事が近くの千葉県八千代市下高野にもあります。その下高野の辻切りの行事に2012年から参加させていただいています。それは2010年1月26日に「辻切り」をブログに掲載し、それを見た下高野の辻切りのメンバーから辻切り作りのお誘いをいただいたのをきっかけでした。2013年は1月24日から1月27日まで海外に出ていたために参加できませんでしたが、2013年以外は参加させてもらえる幸運に恵まれました。そして2017年も参加させてもらったので報告させていただきます。
下記の地図で赤色ライン(━━)で囲った範囲が八千代市下高野です。その中で集落の一番外側に藁の大蛇(


八千代市下高野


上の地図の2番の辻切りの近くのから北東方向に撮った写真です。左側に人家が並んでいます。世帯数27軒は明治時代から変わっていないそうです。

人家が密集している場所で、この写真の中で、辻切り(大蛇)作りが行われました。戦国時代には、写真の中央の木に覆われている小高い丘の上に下高野城(下高野館)がありました。

今までに4回ほど下高野の大蛇づくりを見てきましたが、今回初めてねる作業がありました。それが写真の「藁すき」です。藁のしっかりした茎の部分を残すのが目的のようです。

今までは、鉄の櫛で行う藁すきはすでに終わっていたようです。

動画でも藁すき作業を紹介します。今回は新しい若い方が2名メンバーに入ったこともあり、最初はベテランの方が作業をされて、そのあと若い方が作業されていまし。
大蛇づくりには2種類が藁が使われます。名前は「みとらず」と「こしひかり」です。「みとらず」は名前の通り「実採らず」で米を採るのが目的ではなく注連縄などの藁細工専用のワラです。「こしひかり」の藁に比べて柔らかいのです。井野の辻切りづくりで藁を大槌で叩いていたのは「こしひかり」などの硬い普通の藁を使っていたためであろうと教えてもらいました。


ハウスの中は暖かかったので作業はしやすかったです。3人の方が写真を撮りに来られていました。

この二つを合わせると頭になります。

頭が出来上がりました。後ろ側を3つに分けて胴を編んでいきます。

胴を作るのは注連縄の技術です。先ずは2本で綱を作り、その後に1本を巻き付けて胴を作ります。

今回のメンバーには注連縄作りの名人がおられます。周辺の神社などの注連縄をすべて作っている方です。写真の注連縄も作られました。大きな神社の注連縄も作られています。

大辻を作ったところで、自宅用の小辻を作ります。

10時48分になったところで自家製の甘酒と持ち寄ったお菓子で休憩です。

恒例のかき餅も出されました。大人気でした。

30分程度休憩して作業再開です。完成した大蛇の胴をなめして滑らかにしているところです。使っている板には注連縄の寸法が書かれていました。

蛇の胴体をなめすところの動画も紹介します。
昼食です。いつもはメンバーの奥様がおにぎりとみそ汁を出していたいただいていたのですが、少しけがをされたために今年は弁当持参となりました。それでも美味しい漬物を出していただきました。ビールも2缶いただきます。

13時に作業再開です。

これが舌と目に使う大きな唐辛子です。

その唐辛子の目と舌を付けているところです。

大蛇の胴には小枝やお札などを突き刺します。突き刺す順番決まっていて下高野の辻切りでは頭の方から、ヒイラギの小枝、塞神のお札、杉の小枝、ヒイラギの小枝、お札をもらった神社の幣束(ごへい)、杉の小枝です。お札と幣束は村上の神社で購入するそうです。お札には次の文字が書かれていました。参考に読み方も記載いたしました。

八衢比古神 やちまたひこのかみ
八衢比女神 やちまたひめのかみ
久那戸神 くなどのかみ
三柱守護 みはしらしゅご

6体の大蛇が完成いたしました。一番手前の大蛇のお札と幣束(ごへい)は取り付けに行った辻の近くの家で受け取って付けるそうです。


この時、13時43分でした。9時に作業を始めたので4時間43分かかったことになりますが、休憩と昼食で1時間30分あったので実際の作業時間は3時間13分ということになります。

完成したらすぐに取り付けに行きます。6体の大辻はこの地図の赤いマークのところに設置します。①~⑥の順番に軽トラックに乗って、みんなで取り付けにいきました。境界となる地域は次の通りです。その地域の方向にヘビの頭を向けて取り付けます。頭の方向に矢印(→)を書き込みました。
① 青菅/井野 ② 上高野 ③ 米本 ④ 保品 ⑤ 先崎 ⑥ 青菅

① 青菅/井野との境
写真は古い大辻です。

ここだけは大蛇を作った場所から歩いて行けるので二人でもっていきます。取り付けるまでの写真を掲載いたします。












こちらが取り付けられた新しい辻切りです。ここは車の通りが多く6箇所の中で一番目立つ場所になります。

② 上高野との境
軽トラック3台で取り付けに来ました。

③ 米本との境
ベテランの方が、若い方にひもの結び方を伝授していました。

④ 保品との境
頭は保品方面に向いています。

⑤ 先崎との境
先崎に向かって睨みを効かしています。

⑥ 青菅との境
ここは6ケ所の中で2番目に目立つ場所です。

古い大蛇の取り外しから新しい大蛇の取り付け開始までの動画を紹介します。
右の3台の軽トラで5ケ所を廻って辻切りを作ったハウスに戻って解散しました。解散したのは15時20分でした。一旦家に帰って夜会に参加しました。

家に帰ってすぐに作った小辻を取り付けました。すぐに夜会の場所である蕎麦屋さんに向かいました。杉の小枝とヒイラギの小枝は刺しましたが、塞神のお札と幣束は買っていないので刺していません。

夜会は下記のお店でした。夜会は15時35分から始まりました。明るいうちから始まる夜会となりましたが、もちろん終わった時は真暗でした。
名前 味楽庵
住所 千葉県佐倉市宮ノ台3-3-8
電話 043-487-3926

お通しです。

さっそくビールで乾杯です。料理は薄揚げ作った餃子です。

ワカサギの唐揚げです。

味噌田楽です。

鶏のモツ煮込みは美味しかったです。話が弾んで、出て来た時に撮り忘れてしまっで気が付いた時には、ここまで減っていました。

ゲソの唐揚げです。天ぷらに近い感じでした。

近くの地区にも辻切りの風習が残っています。隣の地区である青菅、先崎には辻切りの風習は残されていませんでした。今回で辻切り関連記事は12個になりました。着色文字をクリックすると記事を表示します。




対象年 地区 掲載 行事が行われる日
2017年 八千代市下高野 → ポチッ 2017年1月29日(日) 参加
2017年 佐倉市井野 → ポチッ 1月25日(水) 見学 下見
2016年 八千代市下高野 → ポチッ 2016年1月31日(日) 参加
2015年 八千代市下高野 → 2015年2月02日(月) 参加
2014年 八千代市下高野 → ポチッ 2014年2月02日(日) 参加
2013年 佐倉市小竹 → ポチッ
2013年 八千代市下高野 → 2013年1月27日(日)
2012年 八千代市下高野 → ポチッ 2012年1月29日(日) 参加 小辻
2012年 八千代市上高野 → ポチッ 2012年1月28日(土)
2010年 八千代市下高野 → ポチッ 2010年1月24日(日)
2009年 佐倉市井野 → ポチッ 1月25日(日) 見学
2008年 佐倉市井野 → ポチッ 1月25日(金)
追伸
2017年2月3日から2月10日まで関西に行ってきます。その間はネット事情の関係から皆様のところに訪問できないことをお許しください。
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地域の風習、いつまでも残しておきたいですね
休憩の甘酒や持ち寄った昼食いいですね
終わった後のご苦労さん会もメンバ-の
結束力が強まりますね。
甘酒は4日かけて作るそうです。麹による糖化した自然の甘さがよかったです。少し砂糖も入れるそうです。
若い方々にも是非とも受け継いでいってもらいたいものです^^
今年も参加頂いてありがとうございます。
2人一組で作っているので、SORIさんは辻切り作りのメンバーになっていますよ。
若い人の参加もあってこれからも宜しくお願い致します。
紹介出来て良かったです。
今回、若い人が2名も来られたのはすばらしいです。私が2012年に参加してから初めてのことでした。
特別な藁を作ったり、特別な唐辛子を作ったりと大変だと思います。
明日は学生時代のサイクリング部のOB会です。
メンバーと言っていただきありがとうございます。
次はもっときれいに作りたいと思います。
藁の大蛇(辻切りと言うんですね) 初めて見ました。
知ってもらえてうれしいです。千葉県には、このような風習がたくさん残っているようです。
ほっこりします。
参加することで地域の密着も出来るし良いことです。
もっと、若い人が増えるといいですね。
まだまだ知らないことが一杯。こう言うのが置いてある所はまだ見たことがないです。
大蛇の顔(口?)が立派ですね^^
辻切りの記事を読ませていただくのは何回目でしょう。
今年もその時期になり1年経つのが早いと感じています。
しかも赤い唐辛子まで付けるとは驚き!!
古代ローマでは厄除け(邪視祓い)と子宝を願って男根崇拝があったんだけど、それが変化していって唐辛子的なお守りになった経緯があって・・・同じように蛇もルーツは一緒かも??
そんな佐倉市一帯はもしかすると古代ローマの血を引く子孫の集まり?・・・って事はないよねぇ~・・・人種が違うし(笑)
ホント、興味深い風習でした!!
SORIさん・・・この風習関連の記事を深耕してまとめたら読み応えのある本になると思うよ!!
その際は・・・絶対に買いますのでサインしてくださいね!!
新しく出来上がった蛇迫力ありますね!
全国でも珍しい風習なのでは?
地域住民の交流にもなっていつまでも受け継がれて
欲しい風習です。
夜会のお料理気が利いて美味しそうですね!
若い人たちに伝えられるかにかかっていると思います。今回は、2人も若い人が参加されたのは素晴らしいです。
コツがわかったので、次はもっときれいに頭を作りたいと思います。胴体の藁を巻く方向は今でも迷います。動画があるので次は行く前に頭に入れてから参加したいと思います。
伝統行事にふれることが出来てよかったです。下高野の皆様のおかげです。
近くの地域である井野と小竹では小学校で辻切りづくりの講習会をやっています。力を入れている地域もあります。
大きな唐辛子が恐ろしさを出しています。近隣地域では一番立派な顔のような気がします。
毎年、新しい発見があります。
今年は藁すき作業でした。いつも見ていただいてうれしいです。
うれしいです。ありがとうございます。
毎年、新しい発見があります。下高野の方から教えてもらって記事にしています。おかげでブログがメモ代わりになっています。
千葉県には沢山残っていますが、全国的には確かに珍しいと思います。最近まで知りませんでした。
昔の人達が藁など自然のものを利用して作り上げるものって
本当に素晴らしいなぁと思います。
わたしも夜会に興味津々です(^^;
油揚げで餃子、いいですね。真似してみよう♪
こんにゃくの田楽も美味しそうです。
食べながらワイワイやるのは楽しいですね。ほんと楽しく過させていただきました。
油揚げで餃子は手軽にできていいですね。我が家でもやってみようかと思います。
お酒に合います。