2015年09月16日

龍角寺

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以前の9月5日に1300年前に開かれた龍角寺に行きましたが、後でネットで見ると見損ねたところがありました。先週は車で行きましたが、家からは往復60km程度で比較的気楽に自転車で行ける距離なので9月13日は自転車で行ってみました。前回の冒頭の写真につかわさせていただいた入口の階段です。今回、掲載した写真はクリックすると全て拡大します。気になる写真があればクリックしてみてください。

手前の建物が土蔵で出来た薬師如の収蔵庫です。向こう側の拝殿とつながっており間の扉を開けると拝殿側から薬師如を見ることが出来ます。この日は、7時半と朝早かったので、まだ扉が開いていませんでした。
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これが、前回の時に見なかった1933年(昭和8年)4月13日に国が指定した塔の史跡です。龍角寺境内の塔址 - 建立当初は33メートル程の三重の塔が建っていたと推考されています。現存する花崗岩は、塔の中心を通る柱の基礎です。またこの中心礎は"不増・不滅の石"といわれ、柱が収まる穴に溜まった水は、大雨でも日照りでも増減しなかったと言い伝えられています。
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寺の一番奥に当たる校倉作り資料庫の裏には趣きのある石碑が沢山ありました。『佐倉風土記』等の伝えるところによれば、和銅2年(709年)竜女が現れ、金の薬師如来像を祀ったのが創建とされ、天平2年(730年)釈命が寺として整備し「龍閣寺」と号したそうです。伝承によれば、翌天平3年(731年)この地域が干ばつに見舞われたとき、釈命が祈祷したところ、印旛沼の龍が天に昇って雨を降らせたが、その龍の体は3つに分かれて地上に落ちてしまい、その3つに分かれて死んでしまった龍の頭の部分をこの寺に祀り「龍角寺」と改称したといわれています。伝承では龍の腹が落ちた地の寺が龍腹寺(千葉県本埜村)、尾が落ちた地の寺は龍尾寺(千葉県匝瑳市大寺)という名前になったといわれています。
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少し趣の違う石碑もありました。当地には古代から仏教寺院が存在したことは間違いないそうです。発掘調査によって、金堂が西、塔が東に建つ「法起寺式伽藍配置」の遺構が検出され、出土する瓦の様式編年から、この地には7世紀後半には伽藍が存在したことが明らかとなっているそうです。これは上記『佐倉風土記』の伝える草創伝承よりもさらに古い年代でだそうです。
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クリックすると拡大現存する114基の古墳で構成された龍角寺古墳群のリストを作ってみました。栄町教育委員会ホームページのデーターを元にしています。全長の数値は円墳の場合は直径で、方形の方墳は1辺の長さです。右の写真は101号の円墳です。この古墳だけ発掘調査に基づき、古墳がつくられた当時の様子を復元しています。
龍角寺古墳 クリックするとオリジナルの新資料を表示します。

龍角寺( )の場所を紹介いたします。



2009年9月6日掲載 タイトル:2009年は龍角寺開基1300年

千葉に前方後円墳、円墳および方墳が判っているだけで114基もある全国最大規模の龍角寺古墳群があることはあまり知られていないと思います。そのすぐそばに龍角寺がありますが、その龍角寺も知られていないと思います。新聞に紹介されていた御蕎麦屋さんに2009年9月5日に昼食を食べに行っき、帰りに、久しぶりだったので龍角寺古墳群に行って見ました。そして、そこから龍角寺まで700mと書かれていたので散歩がてらに龍角寺まで歩いてみました。行くまでは龍角寺がどんなお寺かも知りませんでした。来てみて知ったのが、寺と言っても金堂や門はありませんが建物の跡が当初のかたちに残っている歴史的に価値のある史跡のようなお寺でした。この階段が寺への入口です。関東で最も古い寺の一つであることも知りました。
IMG_5226-50.jpg


階段を上がると地面に石の基礎らしいものがありました。これは仁王門跡です。奥の小さな建物が拝殿でその奥の収蔵庫に薬師如来坐像が安置されています。実は薬師如来坐像の頭部は1300年前のもので、歴史的に価値があると知りました。拝殿の前に立っていると住職さんらしい方から声を掛けられて拝殿の中に入ることが許されて薬師如来坐像を拝観させてもらいました。


これが薬師如来坐像です。大きさは人間とほぼ同じ大きさでした。実際に拝殿の中に入れていただき拝観させていただきました。龍角寺開基1300年記念事業として特別拝観が行われており、偶然ですが、訪れた日(2009年9月5日)がその初日だったのです。あの高野山が2015年に開創1200年を迎えることから、それより長い1300年は歴史を感じさせてくれます。
薬師如来坐像は写真撮影禁止なので拝殿の横の説明書きの写真を撮らせていただきました。薬師如来坐像は709年ごろの作と言われています。ただし火災にあい胴体は溶けてしまいましたが頭部だけが残り元禄正徳ごろに全体が修復されたそうです。すなわち胴体と頭は年代が違うそうです。と説明をしてもらいました。
薬師如来坐像は国重要文化財で千葉県内最古の白鳳仏でもあることも知りました。

建物の手前の広場が金堂跡です。建物は校倉作り資料庫です。高さ33mの塔もあったようで、その跡も史跡ととして残されています。塔跡のことは後で知りました。
 所在地  千葉県印旛郡栄町龍角寺239
 山号   天竺山
 宗派   天台宗
 本尊   薬師如来
 創建年 伝・和銅2年(709年)
 中興年 承久2年(1220年)
 中興  上総介平常秀
 正式名 天竺山 寂光院 龍角寺
 文化財 銅造薬師如来坐像(国重要文化財)
       龍角寺境内の塔址(国史跡)
       龍角寺出土遺物(県文化財)


校倉作り資料庫は茅葺ですが上をトタンで保護しています。 校倉作り資料庫は明治初期建造の物で、当初、宮内庁下総御料牧場にあった物ですが、空港建設に伴い境内に移築されたそうです。


拝殿と金堂跡の間には左右に石塔が並んでいました。こちらが右側で

こちらが左側です。龍角寺が開かれたのが709年とのことなので今年(2009年)が丁度1300年目になり、の丁度1300年目に訪れたのも偶然でした。


奥の二荒神社の近くにあった石碑です。これの年代は江戸時代のようです。薬師如来坐像の特別拝観は9月5日、9月6日、10月3日、10月4日、10月11日、10月18日、10月25日、11月3日、11月8日、11月15日と限られた日です。
詳しいイベントはこちら→ポチッ


航空写真で龍角寺を紹介します。
posted by SORI at 17:55| Comment(26) | TrackBack(2) | 風習・歴史 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
訪問頂きましてありがとうございます。
Posted by yanasan at 2009年09月07日 22:27
こんばんは。
千葉にこんなところがあったとは、まったく知りませんでした。
いつか絶対に行ってみます!(^^)
Posted by リュカ at 2009年09月07日 23:19
yanasanさん こんばんは
こちらこそコメントありがとうございます。
Posted by SORI at 2009年09月07日 23:30
リュカさん こんばんは
龍角寺古墳群もいいですよ。房総のむらの近くです。
Posted by SORI at 2009年09月07日 23:33
お寺らしくない質素な建物ですね。
観光客や参拝客の少ない所は
のんびり出来て好きですね。
Posted by ciscokid at 2009年09月08日 03:59
ciscokidさん こんにちは
近くに沢山の古墳があることは昔は大きな町があったのでしょうね。何度も火事にあったそうです。立て替えられましたが、今は昔の建物はなく、史跡と文化財の静かな場所でした。
Posted by SORI at 2009年09月08日 06:44
千葉にこんなに由緒正しいお寺があったなんて、
ビックリです。

清華大学、北京大学の近くでした。
ちょっと奥に入っているだけで、私がいた頃は
タクシーも乗車拒否をされたんです(>_<)
清華大学、本科生は優秀でしたが、私のように
中国語だけ勉強しているものは、たまたま選んだ大学が
優秀な大学だったって感じです。
Posted by youzi at 2009年09月08日 20:55
youziさん こんばんは!
大学より少し南側にある最近出来た高層ビルから両大学が見えました。その近くに白家大院と言うレストランがありましたが、昔はなかったのでしょうね。
Posted by SORI at 2009年09月08日 21:00
房総のむらは最近行きましたが、竜角寺は看板だけみたことあるだけでした。
今度時間のあるときに行ってみたいと思います。
勉強になりました。
Posted by チェロ♂ at 2009年09月09日 01:23
チェロ♂さん おはようございます。
私も房総のむらは久しぶりだし龍角寺は初めてでした。龍角寺は建物は火災で残っていないので歴史を知らないで見ると、史跡を見過ごしてしまうと思います。敷地内に説明が何箇所かに書かれているのでじっくりと読みながら見ると値打ちが伝わってきます。
Posted by SORI at 2009年09月09日 06:08
こんばんは!
私も千葉にこんなお寺があると初めて知りました。是非行ってみたいですね。
SORIさんの詳しいご説明のおかげで、きっと古代に思いを馳せながらの散策が出来そうです(^^)
Posted by とも at 2009年09月15日 00:58
ともさん こんばんは
是非しもどこかの案内所で散策マップを手に入れてからこのあたりを廻るといろんな発見があると思います。もし手に入らない場合は下記クリックして出てきた地図をプリントアウトして持っていくといいと思います。散策マップの一部をコピーしました。
サイクリングロードの終点の酒直水門から近いこともわかってもらえると思います。

http://makkurokurosk.blog.so-net.ne.jp/_images/blog/_919/makkurokurosk-1/E9BE8DE8A792E5AFBAE58FA4E5A2B3E7BEA4.jpg
Posted by SORI at 2009年09月15日 19:43
こんにちわ。
奈良は来年1300年記念事業が平城京跡あたりであるらしいのですが、それよりも1年早いなんて栄町て古代ロマンの詰まった街ですね。近くの風土記の丘には古墳もたくさんありますし・・・
確か奈良の興福寺にも白鳳時代の仏頭がありますが、この時代の薬師如来は、あかるくたくましく柔和な表情で心が和みます。
素敵なところですね。
Posted by ばんび at 2009年12月02日 10:36
ばんびさん こんばんは
出来たころは同じ頃ですね。栄町はロマンはあるところですね。最近まで知りませんでした。私は古墳群が気に入っています。これだけ沢山の古墳があるのに驚きました。
Posted by SORI at 2009年12月02日 19:12
久しぶりに自転車登場ですね。
自転車で寺巡り良いですね。
Posted by koni at 2015年09月15日 08:43
koniさん おはようございます。
これからは自転車にいい季節です。頻繁に乗ってみたいと思います。
Posted by SORI at 2015年09月15日 08:49
渋い雰囲気のお寺ですね。
Posted by サンダーソニア at 2015年09月15日 10:54
私はお寺や神社なんかを見るのが好きなんですが、知識もないので意外な場所にこんな素敵なお寺があるとはビックリしました。
ちょっと崩れている感じが、雰囲気出ていて好きです。
Posted by まりな at 2015年09月15日 11:08
サンダーソニアさん おはようございます。
歴史的に貴重なお寺なので、昔の建物を復元してほしいです。
Posted by SORI at 2015年09月15日 11:13
まりなさん おはようございます。
100を超える古墳が周囲にあり、1300年前は、関西で言えば飛鳥寺に相当するお寺でした。
Posted by SORI at 2015年09月15日 11:16
千葉県に古墳群をもつお寺があるなんて、全く知りませんでした!
素晴らしいお寺ですね~。
2回目は自転車で行かれたんですね~。往復60Kmは結構良い運動になったでしょうね^^
Posted by Rinko at 2015年09月15日 13:21
Rinkoさん こんにちは
古墳群のリストを追加しました。この古墳群には驚かされました。龍角寺古墳群の記事にリンクしているので是非とも見てほしいです。
Posted by SORI at 2015年09月15日 15:04
千葉県は、古墳群が多いですね。
古墳巡りも面白そうかも。。
片道30Kmは、よく走りましたね。
Posted by なんだかなぁ〜!! 横 濱男 at 2015年09月15日 22:36
なんだかなぁ〜!! 横 濱男さん こんばんは
龍角寺古墳群は古墳時代の後期(6世紀)に造られたとされています。比較的小型の円墳や前方後円墳が多いことから勢力的に拮抗した複数の首長が同時に古墳を造営していたと考えられています。実際に見てみたい時代です。
Posted by SORI at 2015年09月16日 01:52
おはようございます
1300年の古刹なんですね
三重の搭の芯柱を支える大きな石
見事ですね 何となく三重塔が想像
できますね 僕も先日鎌倉時代の
お寺を撮ってきましたよ
Posted by kazu-kun2626 at 2015年09月16日 06:51
kazu-kun2626さん おはようございます。
いにしえの金堂や三重の塔を見てみたいものです。今は静かな場所ですが、この地が栄えていた時代があったことを知りました。
Posted by SORI at 2015年09月16日 07:22
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